買受可能価額 |
買受可能価額とは,売却基準価額からその20パーセントに相当する額を控除した価額のことです。買受けの申出の額は,この価額以上でなければなりません。 |
買受適格証明書 |
売却物件が農地である場合,その所有権を移転するには農業委員会又は都道府県知事の許可が必要であるため,買受申出ができる者を,上記の機関が交付した「買受適格証明書」を有する者に限っています。裁判所で入札するためには,あらかじめ買受適格証明書を取得しておかなければなりません。 |
買受人の所有権取得 |
買受人が代金を納付すると,そのときに不動産の所有権を取得します。買受人は,裁判所から送付された「代金納付期限通知書」に同封された「振込依頼書(兼入金伝票)」に必要事項を記載の上,指定銀行あてに代金を振り込み「保管金受入手続添付書(3枚綴りの2枚目)」を受け取ります。必要事項を記載した「保管金提出書」に,「保管金受入手続添付書」を添付して,裁判所に提出し,「保管金受領証書」を受け取ります。法律上はこの時点で買受人に対する所有権移転の効力が生ずることになります。 |
開札 |
入札期間が終わると,あらかじめ公告されていた開札期日に開札が行われます。開札は,裁判所内の売却場で,執行官が入札書の入った封筒を開封して入札書を読み上げます。入札した人のうち最も高い価格を付けた人が「最高価買受申出人」と定められます。その人の提供した保証は,そのまま裁判所が預かりますが,その他の入札人には,保証を返還します。 |
開始決定・差押え |
強制競売や担保不動産競売の申立てを受けた執行裁判所は,申立てが適法にされていると認められると,不動産執行を始める旨及び目的不動産を差し押さえる旨を宣言する開始決定を行います。開始決定がされると,裁判所書記官が管轄法務局に対して目的不動産の登記簿に「差押」の登記をするように嘱託をします。また,債務者及び所有者に開始決定正本を送達することになります。 |
確定した執行決定のある仲裁判断 |
仲裁判断に基づいて強制執行するには,あらかじめ日本の裁判所において,強制執行を許す旨の決定(執行決定)を得なければなりません。 |
確定した執行判決のある外国判決 |
外国の判決に基づいて強制執行するには,あらかじめ日本の裁判所において,強制執行を許す旨の判決(執行判決)を得なければなりません。 |
確定判決 |
確定判決とは,上訴裁判所によって取り消される余地のなくなった判決のことです。このうち,強制執行できるのは,給付請求権を表示した給付判決に限られます。 |
確定判決と同一の効力を有するもの |
裁判上の和解調書・請求の認諾調書・家事調停における調停調書・破産手続における破産債権者表・民事再生手続における再生債権者表・会社更生手続における更生債権者表及び更生担保権者表等の記載は,確定判決と同じ効力を有し,それらの文書に基づき強制執行をすることができます。 (裁判上の和解と同一の効力を有するもの)民事調停における調停調書・民事調停における調停に代わる決定。 |
仮換地 |
土地区画整理事業を施行する者は換地処分を行う前に仮換地を指定して,従前の宅地の権利者に使用等をさせることができます。なお,仮換地について使用・収益を開始することができる日を別に定める場合があることに注意してください。 |
仮執行宣言付支払督促 |
支払督促は,債権者から申立てを受けた裁判所書記官が債務者に対し一定額の金銭を支払う旨の命令を発するものです。支払督促送達後,2週間以内に債務者が督促異議の申立てをしないときは,そのときから30日の期間内に,債権者は仮執行宣言を申し立てることができ,この宣言がされると,債権者は強制執行を申し立てることができます。 |
仮執行宣言付判決 |
仮執行の宣言(「この判決は仮に執行することができる。」等という判決主文)が付された給付判決は,確定しないでも強制執行をすることができます。 |
換地 |
土地区画整理事業によって,従前地に換えて与えられる宅地のことです。なお,従前地と異なる場所に換地される場合(飛換地)もありますので注意を要します。 |
期間入札 |
裁判所書記官が定めた期間内に入札を受け付け,後日開札を行って落札者を決める入札方法。 |
期間入札の公告 |
期間入札で売却される不動産については,入札期間が始まる日の2週間前までに裁判所の掲示場か庁舎の中の掲示板に,公告が掲示されます。公告には,売却される不動産,入札期間,開札期日が開かれる日時・場所,不動産の売却基準価額,買受可能価額,買受けの申出に際して提供しなければならない保証の額や提供方法など,売却についての重要な事項が記載されています。買受けを希望される方は,まずこの公告を見て,自分の買いたいと思う不動産を選択してください。BITでは,3点セットの冒頭に期間入札の公告の写しを添付しています。 なお,多くの裁判所では,新聞などに不動産執行の広告を出しているので,参考にしてください。 |
強制執行開始の要件 |
強制執行の開始又はその続行には,債権者からの執行力ある債務名義の正本に基づく申立てのほか,次の要件が必要です。(1)債務名義の正本等が債務者に送達されていること。(2)請求が確定期限の到来に係る場合には,その期限が到来したこと。(3)請求が債権者の引換給付義務の履行に係る場合には,その反対給付又はその提供をしたこと。(4)請求が代償請求の場合には,主たる請求の執行が不能に帰したこと。(5)請求が債権者の担保の提供に係る場合には,担保を立てたこと。なお,債務者につき破産手続開始,民事再生手続開始,会社更生手続開始,整理又は特別清算の開始があると,これらは執行障害となり,執行を開始し又は続行することができなくなります。 |
強制執行手続 |
強制執行手続は,勝訴判決を得たり,相手方との間で裁判上の和解が成立したにもかかわらず,相手方がお金を支払ってくれなかったり,明渡しをしてくれなかったりする場合に,債務名義を得た人(債権者)の申立てに基づいて,相手方(債務者)に対する請求権を,国家の執行機関が強制的に実現する手続です。 |
近隣商業地域 |
近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業,その他の業務の利便を図る地域。 |
銀行ローンを利用する場合(法82条2項の申出) |
買受人が金融機関等から残代金相当額の融資を受け抵当権を設定し,買受不動産を担保に融資を受ける場合は,代金納付前に執行裁判所に対しその旨の申出(民事執行法82条2項の申出書の提出)をしなければなりません。申出に際しては,金融機関等との抵当権設定の契約書(写し)及びその金融機関等と連名で登記の申請の代理を業とすることができる者(司法書士又は弁護士)を指定した「指定書」等が必要となります。銀行ローン利用の申出は,代金納付期限の1週間前(遅くとも代金納付期限の3日前まで)までに行ってください。詳細については備え置きパンフレットを御覧いただくほか,融資先の金融機関,指定する司法書士又は弁護士に相談してください。 |
形式的競売 |
留置権による競売及び民法,商法その他の法律の規定による換価のための競売の総称です。これらの手続については,担保権の実行としての競売の例によるとされており,形式的競売の根拠となる民法等実体法規定の趣旨になじまない場合を除き,できるだけ担保権の実行としての競売の手続と同じ取扱いをします。 |
競売市場修正 |
競売手続に必然的に随伴する減価要因(売主の協力が得られないことが常態であること,買受希望者は内覧制度によるほか物件の内部の確認が直接できないこと,引渡しを受けるためには法定の手続をとらなければならない場合があること等)を売却基準価額に反映させる目的で,一般の不動産市場における売却可能な価格を算出した後(市場性修正を施した後)に行う価格修正のことです。 |
競売申立ての取下げ |
申立ての取下げとは,申立債権者がその申立てを撤回する行為です。開始決定がされた後でも,売却が実施されて売却代金が納付されるまでは,いつでも申立てを取り下げることができます。ただし,売却が実施されて,執行官による最高価買受申出人の決定がされた後の取下げについては,原則として最高価買受申出人又は買受人及び次順位買受申出人の同意を必要とします。したがって,確実に取り下げるためには,申立債権者は,開札期日の前日までに執行裁判所に対し取下書を提出する必要があります。買受人が代金を納付した後は,申立ての取下げはできません。申立てを取り下げるためには,事件番号,当事者,目的不動産を記載し,申立てを取り下げる旨を明言した書面(取下書)を執行裁判所受付窓口に提出しなければなりません。既に入札期間が開始されているときは,提出時にその旨をお知らせください。取下書は,裁判所提出用正本に加え,債務者・所有者の数分の副本を提出してください。取下書には,その真正を担保するため申立時に使用した印鑑を押印してください。印鑑が異なる場合は,印鑑証明書を添付する必要があります。 |
建ぺい率 |
建築物の建築面積の敷地面積に対する割合のことです。地域内の建物は,都市計画法で定められる区分毎の定率以下であることが必要ですので,市町村の「都市計画図」等で確認してください。角地や一定の地域での耐火建築物での増加等があることに注意してください。なお,地域内においても個々の土地については,上記の増加等が異なりますので各々確認することが必要です。 |
減価修正 |
減価の要因分析をして求められた減価額を対象不動産の再調達原価から控除することであり,価格時点における対象不動産の適正な積算価格を求めることです。建物の減価率は「定額法」,「定率法」及び直接観察して減価率を求める「観察減価法」がありますが,一般的にはこれらを併用する方法で減価修正が行われます。 |
原価法 |
不動産の価格をその再調達(再取得)に要する費用に着目して求めようとするものであり,価格の判定の基準日(「価格時点」ともいう。)において,対象不動産を再調達することを想定した場合に必要とされる原価(土地の更地価格や建物の再建築費用等)を求め,これから例えば建物であれば経年や損傷等に応じた減価額を控除して対象不動産の試算価格(積算価格)を求めるものです。 |
現況地目 |
登記簿上とは別に,現実の地目が記載されています。 |
現況調査 |
執行官は,執行裁判所の現況調査命令によって,不動産の形状,占有状況,占有者の権原等を調査し,現況調査報告書を作成し,執行裁判所に提出します。 |
現況調査報告書 |
執行官が,実際に競売物件を見た上で,その物件に関する権利関係や占有状況,形状などについて調査した内容を記載した書類です。現況調査報告書には,土地の現況地目,建物の種類・構造等不動産の現在の状況のほか,不動産を占有している者の氏名やその者が占有する権原を有しているかどうかなどが記載されており,不動産の写真等が添付されています。 |
市街化調整区域 |
都市計画地域のうち,無秩序な市街化を防止するため原則として住宅等の建設,開発を制限する区域(市街化を抑制すべき区域)のことです。したがって,農林・漁業施設や公共・公益施設等を除く開発行為は,都道府県知事の許可を要することとなり,市街化調整区域内は原則として住宅等は建築できませんが,例外として認められるものや特殊なものとして許可されるもの等もあり,特定行政庁(市町の都市計画課)にその都度確認することを要します。 |
市場性修正 |
競売不動産の評価では,対象物件自体の個別的要因(形状,規模,接道状況等)による増減価は,試算価格査定の段階で行われるのが通常ですが,例えば,借地権付建物のように,個別的要因を考慮しても,その物件の特殊性のために需要が限定され(土地の賃貸人など買受人が事実上特定の人に限定されることが多いと思われます。),売却が困難である場合があり得ます。このように,主に物件自体に固有に内在する市場性を制約する要因による修正を「市場性修正」といいます。 |
執行証書 |
公証人がその権限に基づき作成した公正証書であって,一定の金銭の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求を表示し,かつ,債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの。 |
執行文 |
強制執行の実施は,執行文の付された債務名義の正本に基づかなければなりません(民事執行法25条)。この執行文の制度は,債務名義が存在していても,それが現在執行力を有するか,また,誰との関係で執行力を有するかについては更に調査を要することから設けられています。執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が,執行証書についてはその原本を保存する公証人が,その点を調査して,債務名義の正本の末尾に執行力がある旨の証明(「債権者Aは債務者Bに対し,この債務名義により強制執行することができる。」)を付記します。 |
収益価格 |
不動産の価格を求める手法の1つである「収益還元法」を適用して試算された試算価格を「収益価格」といいます。収益価格は,収益性不動産(賃貸物件)のほか,賃貸借をすることが物理的,経済的に合理的である不動産においても試算します。 |
収益還元法 |
不動産の価格を求める手法の1つであり,対象不動産が生み出すであろうと期待される収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格(収益価格)を求める手法です。 |
商業地 |
商業地域に存する宅地のことであり,「高度商業地域」,「準高度商業地域」,「普通商業地域」,「沿道又は路線商業地域」,「近隣商業地域」,「小売商業地域」等の表現をしている場合があります。 |
商業地域 |
主として商業その他の業務の利便を図る地域。 |
所有権移転手続 |
代金納付手続が終わったら,裁判所書記官から管轄法務局に対し,次の登記嘱託手続をすることになります。(1)前所有者から買受人に対する所有権移転登記(物上保証人の方が買い受けた場合は不要です。)(2)差押登記や抵当権等の設定登記抹消登記。上記の登記を嘱託する際には,登録免許税法の定めにより手数料(収入印紙又は納付書による納付)を納付しなければなりません。 |
新聞等への広告 |
売却の情報を広く一般に提供するため,大多数の地方裁判所では公告事項の要旨を日刊新聞に広告し,また,大都市部の地方裁判所を中心に住宅情報誌等にも掲載しています。 |
事件番号 |
裁判所が個々の事件を識別して,適切に処理していくために付した符号及び番号で,例えば強制執行事件であれば平成16年(ヌ)第○○号等と表示されます。裁判所ではたくさんの事件を事件番号によって管理していますので,裁判所に照会するときは必ず事件番号を告げてください。 |
次順位買受の申出 |
次順位買受の申出とは,最高価買受申出人が売却代金を支払わなかった場合に次順位買受申出資格者が買受人となることを,開札期日において執行官に申し出ることをいいます。ただし,申出をするには,(1)最高価買受申出人に次ぐ高額の申出であること,(2)申出額が買受可能価額以上であること,(3)申出額が最高価買受申出額から買受申出保証額を控除した金額以上であることが必要となります。 |
住宅地 |
住宅地域に存する宅地のことであり,「既存住宅地」,「共同住宅地」,「戸建住宅地」,「高級住宅地」,「中級住宅地」,「普通住宅地」等の表現をしている場合があります。 |
準工業地域 |
主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を図る地域。 |
準住居地域 |
道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ,これと調和した住居の環境を保護するための地域。 |
滞納債務 |
マンションを買い受けた場合,買受けまでの管理費や修繕積立金などの滞納債務は,買受人が支払う必要があります。滞納債務は,物件明細書や評価書等に記載された額から,買受けまでに更に増加していることがあります。 |
宅地 |
住宅,店舗,工場他の建物等の敷地として利用されることが合理的な土地(現況の宅地)のことですが,不動産登記簿上の表示と必ずしも一致するものではありません。なお,宅地にあっては都市計画法や建築基準法・その他の法令による種々の制限がありますので,利用等に際しては行政機関への事前の確認を行ってください。 |
宅地見込地 |
将来宅地造成が行われて宅地に転換されることが合理的・合法的に見込まれる土地(農地・林地等)のことです。 |
建付地 |
建物等の敷地となっている宅地のことです。 |
建付地価格 |
建物の敷地となっている宅地(建付地)の価格のことです。「更地」は建物等がなく使用等を制約している権利が付いていないので,最有効使用が可能ですが,「建付地」は建物等があり,かつ建物等の継続使用を前提とした敷地部分であり,したがって建付地の価格は例外を除き,「更地」≧「建付地」の関係にあります。 |
担保権の実行 |
不動産を目的とする担保権の実行の方法には,担保不動産競売と担保不動産収益執行があります。担保不動産競売とは,競売(広く買受けの申出を行わせ,最高の価額で申出をした者に売るという売買方法)による不動産担保権の実行をいい,担保不動産収益執行とは,目的不動産を差し押さえ,管理人にこれを管理させ,その不動産から生ずる収益を債権の弁済に充てる方法による担保権の実行をいいます。担保権は,抵当権,質権,先取特権等実体法上の優先弁済請求権を有するものに限られ,解釈上,担保的機能を有する物権としての法定担保ではない譲渡担保とか所有権留保等を含まず,また,優先弁済権を有しない留置権も含まれません。強制執行と異なり,債務名義は不要であり,担保権が登記されている登記簿謄本などが提出されれば,執行機関は手続を開始することとなります。なお,担保権の実行による競売手続も,強制執行手続と比較すると,債務名義を前提とする部分は異なりますが,それ以外の手続はほぼ同じです。 |
第1種住居地域 |
住居の環境を保護するための地域。 |
第1種中高層住居専用地域 |
中高層住宅のための良好な環境を保護するための地域。 |
第1種低層住居専用地域 |
低層住宅のための良好な住居の環境を保護するための地域。 |
代金納付 |
買受人が入札申出額から保証金額を控除した残代金額を裁判所に納めることです。この納付によって,不動産の所有権が買受人に移転します。期限までに代金を納付しないと買い受ける権利を失い,買受申出のために提出された保証金も返還されません。代金が納付されると裁判所書記官は,登記所に所有権移転登記を嘱託します。なお,買受人は,買受代金のほかに所有権移転登記の登録免許税,切手代,引渡命令の申立費用,滞納債務,必要費・有益費,引渡命令の執行や残置物処分のための費用などを負担することになります。 |
代金納付期限通知 |
売却許可決定が確定すると,買受人は,裁判所書記官が定める納付期限までに,執行裁判所に対し代金を納付すべき義務が生じます。裁判所書記官は,特別の理由がない限り,売却許可決定確定日から1か月以内の日を定めます。代金納付期限が指定されたときは,その旨を通知するため「代金納付期限通知書」等を特別送達郵便で発送しますので,買受人は速やかに受領してください。 |
代金の納付手続 |
最高価買受申出人等に売却を許可する執行裁判所の決定が確定すると,裁判所書記官は,特別の理由がない限り,確定の日から1か月以内の適当な日を代金の納付期限と定め,買受人に通知をします。買受人は,定められた期限までに,最寄りの金融機関から裁判所の預金口座に金銭を振り込んで金融機関の領収印のある保管金受入手続添付書を受け取り,それを裁判所に持参する方法,現金を裁判所に持参する方法,裁判所が指定した日本銀行の支店等に現金を納めて保管金領収証書を受け取り,それを裁判所に持参する方法のいずれかにより代金を納付しなければなりません。買受人が代金を納付しないと,不動産を買い受ける資格を失い,提供していた保証の返還も受けられないことになります。そのため,入札をしようとするときは,入札後短期間のうちに代金全額を納付することができるように,取引のある金融機関等と相談するなどしてあらかじめ資金の準備をしておく必要があります。代金が納付されると,不動産は買受人の所有となります。 |
第2種住居地域 |
主として住居の環境を保護するための地域。 |
第2種中高層住居専用地域 |
主として中高層住宅のための良好な環境を保護するための地域。 |
第2種低層住居専用地域 |
主として低層住宅のための良好な住居の環境を保護するための地域。 |
配当 |
執行裁判所が,配当期日において,差押債権者や配当の要求をした他の債権者に対し,法律で規定される権利の順番等に従って売却代金を配る手続です。執行裁判所が配当の定めをした場合には,裁判所書記官がその定めに基づいて配当表を作成し,この配当表に基づいて配当が実施されます。原則として,抵当権を有している債権と,債務名義しか有していない債権とでは,抵当権を有している債権が優先します。また,抵当権を有している債権の間では,抵当権の設定登記がされた日の順に優先し,債務名義しか有していない債権の間では,優先関係はなく,平等に扱われます。 |
配当要求 |
配当要求とは,債権者が,配当等を受けるべき債権者の地位を取得するために,既に開始されている他の債権者が申し立てた競売手続に参加して自己の債権の満足を受けようとする手続です。しかし,誰でもこの手続に参加することができるわけではなく,配当要求をすることができる債権者は限定されています。配当要求は,他の債権者が申し立てた競売手続に参加し,その手続上で配当等を受ける地位を取得するにすぎないため,当該手続が取下げ又は取消しにより終了した場合は配当要求も効力を失います。 |
売却基準価額 |
売却基準価額は,従来の最低売却価額に相当するもので,評価人の評価に基づいて定められた競売不動産の価額です。売却基準価額が適正であるためには,評価が適正でなければなりません。そこで,裁判所は,評価書を,現況調査報告書,不動産登記簿謄本等とともに審査し,評価の前提とした目的不動産に関する事実関係及び権利関係が的確に把握されているか,並びに評価の方法及び計算過程が適正であるかを検討したうえで売却基準価額を定めることになります。 |
売却許可決定 |
最高価買受申出人が決まると,「売却決定期日」(あらかじめ公告されています。)が開かれ,最高価買受申出人に不動産を売却するか否かを,執行裁判所が決定します。最高価買受申出人が不動産を買い受ける資格を有しない場合など,一定の場合には,売却が許可されないこともありますが,普通の場合には売却が許可され,最高価買受申出人は買受人となります。 |
売却許可決定の確定 |
債権者,債務者及び所有者等の利害関係人は,売却許可決定に対する不服申立方法として執行抗告をすることができますので,公告の掲示日の翌日から起算して1週間以内に執行抗告の申立てがされない場合に売却許可決定が確定することになります。売却許可決定が確定した時点で買受申出人は,目的不動産の「買受人」としての代金納付義務が発生します。買受人の事情により目的不動産の取得を取りやめる場合は,入札時に差し入れた保証(入札保証金)を放棄することにより,代金納付義務を免れることができます。最高価買受申出人又は買受人たる地位(権利)の譲渡は,相続等の一般承継の場合を除き,認められません。 |
売却決定期日 |
売却決定期日とは,執行裁判所が最高価買受申出人(又は買受申出人)に対し,不動産の売却を許可するか否かを審査し,その結果について決定という裁判を行う期日です。裁判所書記官は,通常は,売却決定期日を開札期日から1週間以内の日に指定します。執行裁判所は,売却決定期日において最高価買受申出人等の買受けの申出に対する許否を明らかにするため,これまでに実施された一連の手続が適正に行われたか否かについて職権で調査を行い,民事執行法71条に定める売却不許可事由に該当する場合を除き,通常は売却許可決定という裁判を行います。売却許可決定が言い渡されたときは,その内容を裁判所の掲示場に公告します。買受人が配当を受けられるべき債権者である場合は,売却代金から買受人が配当等を受けるべき額を差し引いた残額だけを配当期日等に納付することも認められています。差引納付の申出は売却許可決定が確定するまでに申し出なければなりません。 |
引渡命令 |
引渡命令とは,買受人が代金納付を済ませた後,建物から簡易な手続(通常の裁判と比較して)で占有者を退去させる命令のことです。代金を納付した買受人又はその一般承継人から,引渡命令の申立てがなされると,執行裁判所は,発令要件を備えていると認めた場合,競売不動産を引き渡すべき旨の決定をします。なお,占有者が自発的に退去しない場合は,引渡命令に基づいて退去させるための強制執行が必要です。その場合には,退去執行のため別途費用がかかります。 |
引渡命令の執行 |
引渡命令が相手方に送達になり,執行抗告(引渡命令に対する不服申立て)がなければ1週間で確定し,強制執行ができる効力(これを「執行力」といいます。)が発生します。なお,実際に明渡しの強制執行をする場合には,引渡命令に対する執行文の付与(申立手数料は1件につき300円)及び送達証明(手数料は証明事項一個につき150円)の申請を裁判所書記官にし,これらの書類(執行文付きの引渡命令正本及び送達証明)に基づき,執行官に明渡執行を申し立てなければなりません。また,実際に明渡しの強制執行をする場合には,上記手数料のほかに,執行官に対し必要な費用(家具などの運搬費用や執行官手数料など)を予納しなければなりません。 |
比準価格 |
不動産の価格を求める手法の1つである取引事例から比較して求める「取引事例比較法」を適用して,試算された試算価格を「比準価格」といいます。 |
必要費・有益費 |
建物の占有者が建物の修繕などのために必要又は有益な費用を支出している場合には,この費用を占有者に支払う必要があります。占有者が,留置権を主張している場合,この費用を支払わなければ,買い受けた建物の明渡しを受けることはできません。金額に争いがあり,話し合いで解決がつかない場合には,民事訴訟などによって解決することになります。物件明細書に記載された必要費・有益費の額は,作成時点で裁判所書記官が,執行裁判所の売却基準価額の決定の資料とするために記載した額ですので,現実に支払う額は必ずしもこれと同額とは限りません。 |
評価書 |
執行裁判所の選任した評価人(原則として,不動産鑑定士を選任しています。)が,その物件の価格評価とその算出過程などについて記載した書類です。評価書には,不動産の評価額,周囲の環境の概要等が記載されており,不動産の図面等が添付されています。これらを見れば,算出された評価額の理由,不動産の現況と,それをめぐる公法上の規制等法律関係のあらましが分かるようになっています。 |
標準画地価格 |
土地価格を求めるに当たって,例えば対象地が角地である場合や付近の土地と比較して形状が劣る等の個別性を有する場合に,まず地域の標準的な画地(例えば一般住宅地域においては整形な中間画地等)を想定した価格を求める場合があり,この価格を「標準画地価格」といいます。 |
風致地区 |
都市計画法に基づく地域地区の1つで,良好な自然的な景観(風致)を維持するために定める地区のことです。風致地区においては,都市計画法による基準に基づき定められる都道府県の条例で建築物の建築,その他の工作物の建設,宅地造成,その他都市の維持に影響を及ぼすおそれのある行為は,都道府県知事の許可を受けなければなりません。また,条例において,建築物に対しては,高さ・建ぺい率・壁面の後退等の規制が定められています。 |
袋地 |
不動産の評価書中に袋地と表現している場合の土地は,土地の形状が袋形(路地状部分が道路に接する形)の不整形画地のことです。評価人によっては「路地状部付宅地」等の表現をしている場合があります。建築基準法43条の規定により,建築物の敷地は建築基準法上の道路に2メートル以上接しなければなりませんので注意を要します。また,用途又は規模の特殊性により,地方公共団体の条例で制限を付加することができるようになっていますので,事前に良く調べる必要があります。 |
不動産競売 |
地方裁判所では,債務を弁済することができなくなった人の所有する不動産等を差し押さえて,これを売却し,その代金を債務の弁済にあてる手続を取り扱っています。これが不動産の競売です。不動産の買受けについて更に詳しいことを知りたい方は,最寄りの地方裁判所か,その支部の競売係にお問い合わせください。 |
不動産執行の申立て |
不動産執行の申立ては,書面でしなければなりません。申立ては,目的不動産の所在地を管轄する地方裁判所(支部を含む。)にします。申立てに必要な資料等については,申立てをする地方裁判所に問い合わせてください。 |
不動産に関する情報 |
買いたいと思う不動産が見つかったら,その不動産についてよく調査してください。そのために裁判所では,物件明細書,現況調査報告書及び評価書という三点セットの写しを,入札期間が始まる日の1週間前までに備え置き,だれでも見ることができるようにしてあります。これらを見れば,不動産の現況とそれをめぐる法律関係のあらましが分かるようになっています。これらの資料はBITでも見ることができます。なお,これらの書類はあくまでも参考資料であることを心得ておいてください。大きな買物をするのですから,買受申出をしようとする場合は,現地に行って自分の目で物件をよく見るほか,登記所などへも行って権利関係を確かめるなど,必ず,自ら調査,確認することが大切です。調査,確認が困難な場合や,権利関係が複雑な場合などは,弁護士などの専門家に相談されるとよいでしょう。 |
不動産に対する強制執行 |
不動産に対して行う強制執行の方法には,強制競売と強制管理があります。強制競売は,債務者所有の不動産を差し押さえ,これを換価し,その売得金を債権者の債権の弁済に充てることを目的とする執行方法です。強制管理は,目的不動産を差し押さえ,管理人にこれを管理させ,その不動産から得る収益を債権の満足に充てることを目的とする執行方法です。 |
不動産の調査 |
買いたいと思う不動産が見つかったら,その不動産についてよく調査してください。そのために裁判所では,物件明細書,現況調査報告書,評価書という3つの書類の写しを入札期間が始まる日の1週間前までに備え置き,だれでも見ることができるようにしてあります。物件明細書には,その不動産を買い受けたときに,買い受けた人がそのまま引き継がなければならない賃借権などの権利があるかどうか,土地か建物だけを買い受けたときに建物のために地上権が成立するかどうかなどが記載されています。 |
不動産の引渡し |
所有権を取得した買受人は,不動産を占有している者に対して,引渡しを求めることができます。従前の所有者が任意に引き渡さないときなど,一定の場合には,代金を納付した日から6か月以内(買受けの時に民法395条1項に規定する建物使用者が占有していた建物の買受人にあっては9か月以内)に申し立てることによって,引渡命令という裁判をしてもらえます。この裁判がされると,執行官に申し立てて,従前の所有者等を強制的に立ち退かせることができます。ただし,引き続いて居住する権利を有する人が住んでいる場合など自ら引き継がなければならない賃借権がある場合などには,すぐに引き渡してもらうことはできません。 |
物件明細書 |
物件明細書は,民事執行法62条・民事執行規則31条により,買受人が引き受けることとなる権利関係など競売物件に関する一定の情報を記載して備え置くこととされているものです。物件明細書には,その不動産を買い受けたときに,買い受けた人がそのまま引き継がなければならない賃借権などの権利があるかどうか,土地か建物だけを買い受けたときに建物のために地上権が成立するかどうか,その他参考となる事項が記載されています。物件明細書は,裁判所書記官が記録上表れている事実等とそれに基づく認識を記載したものにすぎず,当事者の権利関係を確定するものではなく,権利関係に関する裁判を拘束するものでもありません。したがって,新たな事実の発生・発覚等によって権利関係が変わることもあり,また,物件の状態が変わることもあり得ます。そのため,入札を検討される場合には,必ず,御自身でも直接現地を見に行くなど十分な調査・確認を行うようにしてください。 |
物件明細書の記載事項 |
物件明細書には,これを作成した裁判所書記官の氏名及びその所属する執行裁判所名や事件番号,作成日付のほか,(1)「不動産の表示」,(2)「売却により成立する法定地上権の概要」,(3)「買受人が負担することとなる他人の権利」,(4)「物件の占有状況等に関する特記事項」,(5)「その他買受けの参考となる事項」といったものが記載されています。なお,裁判所では,たくさんの事件を取り扱っており,その管理は事件番号によって行っていますので,裁判所に問合せ等される場合には,必ず事件番号を告げてください。 |
物件目録 |
今回,売り出される物件の目録が記載されています。この記載内容により,土地と建物が売り出されているのか,建物だけなのか,売り出される権利は全部の所有権なのか,持分のみなのか等が分かります。なお,物件については,物件番号が付けられていますので,物件番号に注意するようにしてください。土地が一筆と建物が一棟だけの場合は,土地を物件(1),建物を物件(2)と表示するのが一般的です。物件について,「持分○分の○」と記載されている場合には,当該物件については共有持分(他の人と分け合って所有する物の割合的な権利)のみの売却であり,買受人は当然に物件を使用収益できるとは限らないので,注意してください。 |